このたび、佐賀県立美術館のリニューアルを記念して、「吉岡徳仁展―トルネード」を開催いたします。吉岡徳仁は佐賀県に生まれ、1986年桑沢デザイン研究所を卒業後、倉俣史朗、三宅一生のもとでデザインを学び、2000年に吉岡徳仁デザイン事務所を設立しました。早期から20年以上にわたりISSEY MIYAKEの展覧会やスペースデザインを手がけながら、吉岡徳仁デザイン事務所設立以降は、その活動範囲をさらに拡大し、デザイン/アートの領域を超えて世界的に著名なブランドとのコラボレーションを実現していきます。自由かつ大胆な着想と実験的な手法により生み出された作品の数々は、平成18年度(第57回)芸術選奨文部科学大臣新人賞(芸術振興部門)、2001年度毎日デザイン賞、Design Miami/Designer of the Year 2007、Maison&Objet/Creator of the Year 2012など、国内外を問わず多数の賞を受賞するとともに、ニューヨーク近代美術館(MoMA)、ポンピドゥー・センター、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館、東京都現代美術館など、世界の主要な美術館に永久所蔵されています。吉岡はこれまで、水や風、雲などの雄大な自然現象や不定形の感覚に着想を得、それらを最もシンプルな素材と表現のなかに再構成することを追求してきました。緻密な計算と、自然が造り出す偶然の交わりのうえに生まれる美しい作品群は、常に見る人に驚きを与え、グローバルな反響をもたらしています。さらに今春には、2011年の第54回ヴェネツィアビエンナーレにてデザインが発表された「ガラスの茶室―光庵」が、構想から5年を経て、京都市の将軍塚青龍殿に完成。自然と共に生み出される時間を知覚化し、日本独自の自然に対する解釈とその空間性に迫ることで、新たな境地を拓きました。
九州初の個展となる本展では、新しくなった佐賀県立美術館の展示室に、吉岡の代表作のひとつであるインスタレーション「TORNADO」が出現します。200万本を超えるストローによって作り出される巨大な竜巻が、空間と響き合いながら生み出すハーモニーをお楽しみください。さらに、2001年に発表し世界の注目を浴びた紙の椅子「Honey-pop」、パリのオルセー美術館に常設展示されているガラスのベンチ「Water Block」、自然構造によって生み出された結晶の椅子「VENUS」など、代表的な作品群を併せて展示します。
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