静岡市在住の日本画家、田宮話子の画業をたどる展覧会です。現在、静岡市を活動の拠点に置く田宮は、学生時代は女子美術大学で版画を学び、その後、東京藝術大学で日本画を学びました。さまざまな表現方法にとりくみながら、田宮独自の「美しい女性像」を確立してゆきます。描かれた女性はみな髪を結いあげ、ふくよかな身体、穏やかな表情をしていますが、優しさだけではない、凜とした空気をまとっています。人物の衣服に咲く極彩色の花々や、南国を思わせる作中の背景からは、1990年代に田宮が旅したインドネシア、中国の敦煌などの風俗や思い出を感じることができます。近年では駿河国・静岡の風土を思わせる色彩、縁のある植物、果実などがモチーフに加えられました。
田宮の描く女性たちは、社会が期待する既存の女性像から解放された場所で呼吸をしています。彼女たちから、今の時代に生きる姿勢を見いだせるのではないでしょうか。