仏教における容れものには、厨子 (ずし)、経箱、経筒、説相箱 (せっそうばこ) など様々な箱があります。中に納められるのは、仏像や経巻、舎利 (しゃり) などで、これらは仏の教えそのものをも意味しています。そのため、仏教における箱は、仏の教えを永く大切に保存し、伝えていく重要な役割を担い、そこには浄土への願いや追善供養 (ついぜんくよう) など、人々の様々な祈りも籠められました。
また、仏の教えを荘厳 (しょうごん) することは経典に説かれた功徳 (くどく) でもあります。仏の姿や教えを荘厳するために、厨子、経箱、経筒、説相箱などには金や銀、漆など様々な素材が用いられて、美しく装飾されてきました。本展覧会では、東アジアで作られた様々な仏教の箱や容れものから、当時の美意識と篤 (あつ) い信仰心を見ていきます。なお、本展覧会では所蔵作品の他に、特別出陳として、舎利容器や経箱、経筒などを拝借し、展示いたします。 (担当 瀧朝子)