髙橋節郎氏は、日展の常務理事として永年にわたり工芸美術の発展と後進の育成に尽力してきました。とりわけ長野県の作家への指導に情熱を注ぎ、本年の日展工芸美術では県内より多くの入選者を輩出するに至っています。髙橋節郎氏とその作品を顕彰する当館としても、この展覧会において、髙橋氏と同じ芸術を志し日展入選を果たした県内の作家の作品を展示し、その成果を広く紹介する機会とします。工芸美術の分野は木、陶、磁、漆、染色、七宝、革、織といった様々な素材を用いた幅の広い世界です。これらの作品は、伝統的な技法とともに、現代的な感覚を駆使した作家それぞれの個性の結晶となっています。細部まで細工の限りを尽くした繊細な技巧、その一方で、大胆に省かれ抽象化された形状、一つの作品の表現技法を見ても驚かされる内容となりました。この展覧会をできるだけ多くの方々にご鑑賞いただき、現在の日展工芸美術の最先端の芸術を身近に感じていただければ幸いです。