日本、韓国、台湾のぞれぞれの場所、それぞれの国のひとが、それぞれの言葉で「ホタルの光」を歌う。原曲はスコットランド民謡でありながら、別々の歌詞が付けられている。その歌には様々な歴史的経緯があるにもかかわらず、歌詞の内容はどの国にとっても特別な意味合いを持つ。それを同時に上映する作品「Auld Lang Syne」。
赤と白の帽子と体操着を身につけた二人の女の子が、日本語と韓国語で「It's a small world」を歌いながら砂場の砂山を取り除く「旗とり競争」ゲームを延々と続ける映像作品《It's a small world》。我々の日常の底には悪意無き対立とでもいえる根が張っている。
井上裕加里は「“答え”は目の前にあり、見えていないのは“問い”である。」という。井上は社会の中にいつのまにか沈殿してしまっている事象を掘り起こし、問いそのものを私たちの目前に突きつける。