数々の名画で知られるルーヴル美術館。そのコレクションの中でも、デッサンや版画などを扱うグラフィック・アート部門、特にカルコグラフィーはあまり知られていないかもしれません。カルコグラフィーとは、銅版画と、その原版コレクションの保管室を意味し、ルーヴル美術館ではルイ14世の時代から現代まで、豊かなカルコグラフィーコレクションが形成されてきました。本展では、ルーヴル美術館が蓄積してきた「知」と「情報」、そしてルネサンスから20世紀まで馴染み深い名画の数々をわかりやすく伝えてくれるおよそ13,000点もの銅版画原版の中から、日本での特別公開のために、当時の貴重な版を用いて刷られた銅版画約130点をご紹介します。ルーヴルやヴェルサイユ宮殿の歴史を描きだし、絵画の記録と知識の伝達に寄与しながら、近代以降にはひとつの芸術表現として確立されたカルコグラフィー。その知られざるコレクションとルーヴル美術館の世界を、より身近に感じていただけるのではないでしょうか。あわせて、当館所蔵の本の挿絵として刷られた銅版画も一部展示します。