タイトル等
森野泰明展
会場
ギャラリーなかむら
会期
2014-10-07~2014-11-02
休催日
月曜日
開催時間
11:00am~7:00pm
概要
美術評論家河北倫明氏は現代陶芸の先駆者八木一夫について、「彼は陶芸家八木一艸の長男として京都五条坂に生まれたから、もともとやきものの中から出てきたような存在である」と書いているが、八木一艸を森野嘉光に換えれば、この文章はそのまま森野泰明氏に当てはまる。
1950年代、八木一夫ら京都の気鋭の陶芸家たちは焼き物を用途性の呪縛から解き放ち、アメリカ生まれの抽象表現主義的陶彫は既成の陶芸の概念を軽々と打破してみせた。疾風怒濤の時代に京都美大で富本憲吉らの薫陶を受けた森野氏は1962年、28歳の若さでシカゴ大学に招かれ渡米した。大国アメリカの巨大なエネルギー、先鋭的な現代美術に触れて森野氏が得たのは京都の陶芸家であるという痛切なアイデンティティの自覚であった。
以来、その作陶の眼目は、名工を輩出した五条坂に集積された膨大な陶技を養分とし、千年の王城の地、京都で培われた雅な美意識を土台として、世界に通じる普遍性のある陶芸美を生み出すことに尽きるといってよい。
黒陶に徹した八木とは対照的に森野氏は豊潤な色を繰る色彩の詩人である。トルコ・ブルーを基調とする「蒼溟」など氏が創出した色釉が描き出す陰影に富んだ文様の魅力は余人の追随を許さない。不思議な温もりが通うテクスチャー、柔らかで強靭なフォルムと多彩な装飾が一体となってリズミカルに響き合い、琳派にも通じる幽艶の美を紡ぎ出す。
作陶60年を迎えて洗練の極みに達した作品群を一言で評する言葉を知らない。だが、常に“現在語”で語り続ける森野芸術が仁清以来の京焼の歴史に新たな一ページを開きつつあることだけは確かである。
田原由紀雄 (美術評論家)
会場住所
〒604-8005
京都府京都市中京区姉小路通河原町東入恵比須町424 2F
京都府京都市中京区姉小路通河原町東入恵比須町424 2F
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