このたび富山県立近代美術館では、富山県を代表する画家、藤森兼明(日本藝術院会員、日展副理事長、昭和10年富山県砺波市庄川町生まれ)の画業を回顧する展覧会を開催します。この展覧会では、ビザンチン時代の聖像に精緻に描写された現代女性像を重ねる近作シリーズを中心として、初期から最近作まで約90点の代表作を一堂に会し、冴えわたる圧倒的な画技によって「つかの間の生の輝き」と「永遠の精神性(祈り)」という表裏一体の観念を昇華した藤森芸術の精華をご紹介します。「人間像によって精神性を表現する」という、黒田清輝以来のわが国の洋画の課題を継承する、60余年に及ぶ画業をご覧ください。