私の住む家は、ある部屋に坐ると、絵が十数点見えます。裸の階段の端には立体作品もあります。ある部屋には絵や立体が多少ごちゃごちゃと置かれています。日が差し込む部屋には、日焼けのおそれの少ない石や木の彫刻や陶芸作品が数点並んでいます。
大邸宅ではありません。小さい作品ばかりです。掌に乗るようなものもあります。そんな小さな作品をならべる展覧会がときどきギャラリーで開かれます。そういう機会に手に入れたものもかなりあります。1万円前後から数万円でしょうか。
小さくても作家が気持ちを込めて作り上げた作品です。それをゆっくり身近でたのしめるのは嬉しいことです。美術館などで開かれる展覧会では、展示作品に手を触れてはいけません。当然のエチケットです。自分のところにある作品は手にとってあれこれ眺めることができます。なんなら撫でさすってもかまいません。でも壊してはいけません。作品はいつまでも作ったひと、作家のものでもあるのです。
高橋亨
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