近代美人画の大家として、女性初の文化勲章を受章した上村松園(うえむらしょうえん)(1875~1949)は、明治8年京都に生まれました。円山・四条派の流れを汲む鈴木松年をはじめ、幸野楳嶺、竹内栖鳳に学び、京部の風俗、歴史、謡曲などに取材した気品に満ちた女性像を描き、現在も多くの人々を魅了してやみません。
そして松園の子息 松篁(しょうこう)(1902~2001)は母と同じ日本画でありながら独自の世界観を展開させ、生涯にわたり気品あふれる花鳥画を描き、昭和59年には母子二代にわたり文化勲章を受章しました。さらには松園の孫であり、祖母、父と同じ日本画家の道を歩む淳之(あつし)(1933~)。淳之は東洋独自の絵画表現を模索しながらも、次世代へと繋がる花鳥画を現在も描き続けています。平成7年に日本芸術院賞受賞、平成25年には文化功労者として顕彰を受けました。
今回は奈良市にある松伯美術館所蔵の名品を中心に約50点を展示し、三人が生み出した作品を通してそれぞれが追い求めた画業の真髄に迫ります。この機会に松園・松篁・淳之、親子三代 約一世紀にわたり受け継がれる美の系譜をぜひご堪能下さい。