近年の城址公園における発掘調査によって、富山城を彩ったと思われる多数の瓦が確認されています。古代以来、瓦は寺院建築にのみ葺かれてきました。お城に瓦が葺かれるようになるのは、信長や秀吉が活躍した時代「織豊期」に入ってからのことです。富山城も全国的な流れの中で、瓦が葺かれる城郭として整備されていきます。
それでは、富山城の瓦にはいかなる特色があるのでしょうか。その瓦はどこで焼成されたなのでしょうか。出土した瓦からは、慶長10年(1605)に前田利長が整備した富山城、さらには万治3年(1660)以降に富山藩が政庁を置いた富山城、に関してどのような知見を導くことができるでしょうか。
本展は、脇役に甘んじがちな「瓦」にスポットを当て、その形状や技術・文様などからみえてくる富山城の歴史の一面を紹介したいと思います。