大塚国際美術館(館長:大塚一郎、所在地:徳島県鳴門市)は、ゴッホの描いた「ヒマワリ」の中でも、第二次世界大戦の折に焼失し、二度とみることができない通称“芦屋のヒマワリ”を原寸大の陶板として再現し、2014年10月1日より追加常設展示します。
この作品は、1920年に大阪の実業家であった山本顧弥太 (やまもと こやた) 氏が、武者小路実篤 (むしゃこうじ さねあつ) ら白樺派の依頼を受け、当時の2万円(現在の約2億円)で購入し日本に招来されました。かつて兵庫県芦屋市の山本氏の邸宅にありましたが、1945年8月6日に阪神大空襲により、残念ながら焼失してしまいました。
今回、東京都調布市にある武者小路実篤記念館にご協力をいただき、当館絵画学術委員・千足伸行先生(成城大学名誉教授)監修のもと、当時発行されたカラー印刷画集「セザンヌゴオホ画集」より再現を進めています。陶板名画は2000年以上にわたってそのままの色と姿で残るため、今回の再現は文化財の記録保存のあり方として貢献できるものと考えています。
これに関連して、10月1日(水)から3月31日(火)の期間、「ゴッホの幻のヒマワリ」と題して、ゴッホに焦点をあてた催しを行います。ゴッホの絵画に秘められた謎を解き明かす「ミュージアムミステリーツアー“青の事件簿”」や、「ヒマワリ」に秘められた思いを読み解くギャラリートーク、ヒマワリランチやケーキなど、観る、聞く、食べるなどの体験を通して、名画に親しむことができる内容です。
日本文化を愛したゴッホ、そしてゴッホの作品に魅了された実篤ら白樺派。かつて日本にあった名画に想いを馳せることで、美術への関心が高まり、絵画を鑑賞し愛好するきっかけになればと願っています。