絵本『11ぴきのねこ』のシリーズは、好奇心旺盛で、貪欲で、ちょっとずるいところもある、けれどもなぜか憎めない11ぴきのねこたちが繰り広げる物語。1967年の第一作誕生から今日まで、そののびやかな表現とユーモアあふれるストーリーで子どもから大人まで幅広い世代に愛され続けてきました。
作者の馬場のぼる(1927-2001年)は青森県三戸町に生まれ、戦後にまず漫画家としてデビューし、児童雑誌で『ポストくん』や『ブウタン』を発表。親友でもあった手塚治虫や、福井英一とともに「児童漫画界の三羽ガラス」と呼ばれるほどの人気を博します。その後、絵本作家としても活動し、第一作『きつね森の山男』から遺作となった『ぶどう畑のアオさん』まで多くの絵本を発表し話題を呼びます。ほのぼのとした画風と深みのあるユーモア、独特の語り口は馬場作品ならではの特徴といえますが、それは漫画でも絵本でも生涯を通じて変わることのない作風でした。
本展ではそうした馬場の『11ぴきのねこ』のシリーズをはじめとした絵本や漫画の印刷原稿や原画、スケッチなどの資料に加え、幼少期や青年期の貴重なノートやイラストなども合わせて展示し、馬場のぼるの作品が織りなす世界の魅力をご紹介します。