伊万里(現在の佐賀県伊万里市)出身で、日本の「西洋菓子のパイオニア」「菓子王」と呼ばれる森永太一郎(1865~1937)は、来年生誕150年を迎えます。
太一郎は、米国に足かけ12年滞在し、西洋菓子の製法を習得した後、明治32(1899)年8月、東京市赤坂区溜池町(現在の港区虎ノ門付近)に広さわずか2坪の「森永西洋菓子製造所」を開きました(森永製菓の創業)。太一郎は、苦労の末、事業規模を拡大し、日本で初めて西洋菓子製造を機械化し、大量生産を始めました。
その後、明治38(1905)年に新高製菓、明治43(1910)年に不二家、大正5(1916)年に東京菓子(株式会社明治の前身)、大正10(1921)年に江崎商店(江崎グリコの前身)、大正13(1924)年に北日本製菓(ブルボンの前身)などが次々に創業し、全国で、子どもたちの大好きな<おかし>が、生活の一部として定着しました。
太一郎と森永製菓は、それまでの和菓子中心の日本の菓子業界に「革命」をもたらし、生活文化を変化させる端緒を作ったと言えます。
今回の展覧会は、佐賀が生んだ森永太一郎の人となりと功績をたどるとともに、時代を彩った森永製菓のお菓子や広告により近代の生活文化の一端を御覧いただくものです。