水や土などの物質性を活かした色彩と、身体感覚から生まれる動きのパターンを活かした描画を主体としながら、平面、立体、空間へと幅広く表現する古賀 飛のコンセプトは「自然」です。この場合の「自然」とは「人間」に相対するものではなく、人間の存在もふくめてすべてを包摂する全体そのもの、すなわちあるがままのこの世界です。一方の宇留野隆雄は人型の着ぐるみによるパフォーマンス表現を続けています。そのシリーズは匿名の純粋に造形的な要素として、ただそれが動いているという抽象的な表現から、やがてその存在が外部の現実世界に反応するようになり、他者との「対話」を表現の形式とするにいたっています。今回の二人のコラポレーシヨンは、自然を指向する古賀の表現が、宇留野の造形を包摂し、対話を指向する宇留野の表現が古賀の色彩を自らに映し込むことができるのかという実験です。相互に浸透し合い、そこに現われるもうひとつの「自然」が、が何かを語りだすことを望んでいます。
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