このたび稲沢市荻須記念美術館では、当館の顕彰画家である荻須高徳(1901-86)の東京美術学校の同級生である小磯良平(1903-88)の展覧会を開催します。
二人はエコール・ド・パリの頃、同時期に渡仏し、本場の西洋絵画を享受しました。当時の日本洋画との差を身を持って感じ、荻須は西洋絵画の根本に接近していこうと気持ちを固め、小磯は「ヨーロッパの古典的な技法を歴史の浅い日本の洋画に根付かせる」「アカデミズムを貫きつつ独自性を出していきたい」と強い決意を持ち、洋画の歴史的な重要性を深く認識、研究した上で、理想の絵画世界を追い求めました。
小磯は踊り子や裸婦、暮らしの中の女性の姿を生涯のモチーフとして選び、様々な構図を展開しました。確かなデッサン力で描かれた女性像はしなやかで優しく、そして強いといった多彩な一面が生き生きと表出しています。
今回の展覧会では、小磯良平の美術学校時代から晩年までの油彩画、素描、版画など42点により、その魅力を紹介します。
また会期中は当館の荻須高徳常設展をあわせて御覧いただくことで。同時代に生き、自己の芸術を見据え、描き続けた二人の画家の制作への姿勢を感じとっていただくことができます。ぜひご高覧ください。