ラスコーの壁画、ナポレオン像、ピカソのゲルニカ、、、「馬の絵」として思い浮かべるのは、何の絵でしょうか。描き尽くされたかのように思える古典的なモチーフである「馬」の絵を、小林正人が今、描きます。しかしそこに描かれた馬は、権力の象徴としての馬でも、生活の友としての馬でもなく、「ただの」馬であり、「名もなき」馬です。そこにたたずむ一頭の馬は、描かれることで息を吹き込まれ、毛並みも艶やかに、気品のある潤んだ瞳でじっと前を見つめます。
画家の自画像でもあろう数点の馬の絵を、女性や星が描かれた絵と同義に捉え、この星の絵具で描かれたこの星の家族として、他の作品と同列に並べ展示します。それは「LOVE もっとひどい絵を!美しい絵 愛を口にする以上」シリーズでも言及しているように、より自由で開放的な絵画のあり方を提示します。作家の手によって既成概念の枠から外され、自由を手に入れた絵を前に、私たちはどう反応することができるのでしょうか。