1本の線、あるいは小さな丸。2つ3つと並べていくと、リズムが生まれ、心おどる模様となります。そして模様となったとたん、単なる図形だったときには予想もしなかったニックネームで呼ばれ出します。2本ずつ、直線がコンビのように並んで走ると「双子縞」。曲線だったら「よろけ縞」。複数の丸は「水玉」で、もっと小さな丸がいっぱい集まれば「鮫」、規則正しく配置された三角形や六角形は「鱗」や「亀甲」と、例をあげればキリないほど。名前の内容は状態の描写から別のものへの見立てまでさまざまですが、そこには人の心理に働きかけるかたちへの関心の強さがうかがわれ、また名前をつけることによって育まれるイメージが模様の楽しみを広げているようです。
さて私たちの周辺を見渡せば、幾何学模様のみならず、花や動物、景色、自然現象、文字に日用品など、その範囲は無限!ありとあらゆるものが模様となって、私たちの生活を彩り、豊かにしています。それに模様は、ただ表面的な飾りのためだけに用いられているわけではありません。モチーフとなったものに備わる力を借りて、無事に、健やかに、リッチに、美しく、幸あれと願う気持ちがこめられているのです。そして最新作からはるか彼方の古典まで、すべてにおいてそれが模様として成立したときのひらめきと喜びが息づいてもいます。
シンプルなのもカッコイイけど、模様を見ればやっぱりワクワク。こどもも大人も、模様の魅力にときめく夏です。