現在の倉敷市下津井に生まれた岡本欣三 (おかもときんぞう)(1914~2001)は、日本画家であった父 東陽の影響で、幼い頃から古美術に親しんで育ちました。特に当時、日本では再現不可能と言われた中国古陶磁に魅せられた欣三は、昭和2(1927)年京都市立第二工業学校窯業科に進学、卒業後国立陶磁器試験所に勤務し、化学分析や釉薬調整、実験などに励みました。戦後、倉敷市羽島に天神窯を築窯すると、辰砂、均窯、青磁、白磁、瑠璃、鉄絵、染付、赤絵などさまざまな釉薬の研究と製作に打ち込みました。昭和42年には玳玻盞天目 (たいひさんてんもく) の焼成に成功、その後も中国古陶磁の技術復元に挑むとともに、紫欣釉 (しきんゆう)、桃壽光 (とうじゅこう) など独自の釉薬を考案し、多彩で色鮮やかな作品世界を作り上げました。本展は、欣三生誕100年を記念し、京都時代から晩年まで約150点の作品により釉薬の研究と作陶に励んだ欣三の生涯をご紹介します。