黒田清輝らによって結成され、明治期の洋画に新風を吹き込んだ白馬会が解散したのは、1911(明治44)年のことでした。その翌年、三宅克己、中澤弘光、山本森之助、小林鍾吉、岡野栄、跡見泰という白馬会の若手・中堅の画家たちに、デザイナーの杉浦非水を加えた7名が、黒田の賛同を得て光風会を結成します。戦時中などを除いて、年1回の公募展を中心とする研究団体として活動し、今年で100回を数えるに至りました。その初期には、白馬会の外光表現や明治浪漫主義を継承する同会の会員たちが数多く出品しただけでなく、西欧から流入する新しい傾向に影響を受けた若い画家たちの出品も少なくありませんでした。その後も光風会は、若い画家の登竜門として、また中堅・ベテランの画家たちにとっては新しい試みの場として機能し、多くの才能を輩出してきました。
本展では、明治から昭和にかけての洋画壇を取り巻く状況を、光風会という団体の視点からとらえ直し、アカデミックな領域と近接しながら展開した光風会の美術史的な意義を検証しようとするものです。光風会創立会員たちから、黒田清輝、藤島武二、岡田三郎助など白馬会の画家たち、辻永、鬼頭鍋三郎、田村一男など、大正から昭和にかけての光風会を支えた画家たち、さらに有島生馬、猪熊弦一郎、小磯良平など、二科会や新制作派協会、日洋会など、光風会から分かれて新たな団体で活躍した画家たちまで、67作家80余点の作品によって、その歩みを振り返ります。
今回の出品作のうち約半数は画家たちが10代から30代の時期の作品です。若き日の情熱を傾けて制作された、画家たちの青春の輝きをぜひご覧ください。