文化庁では、地方において、文化庁メディア芸術祭の受賞作品を中心に、インタラクティブアート、映像、ゲーム、ウェブ、アニメーション、マンガ作品などを、総合的に展示・上映し、解説などを行う展覧会を開催しています。
今年度は、山梨にて企画展「五感で旅するメディア芸術の世界」を開催したほか、愛知にて企画展「CODE―私の宇宙/僕の言葉」を開催しました。
2014年2月26日からは北海道・釧路にて企画展「自然と人間:グロスに見渡すメディア芸術」を開催いたします。
霧のマチとして知られる釧路市は、北海道東部の中核都市。二つの国立公園を擁する豊かな自然を背景にした観光と交通の拠点で、かつての炭鉱都市の歩みを受け継ぎ、現在は農林水産業や製紙、製薬、物流などを基幹産業とする港町です。眼前の太平洋と背後の釧路湿原、水に囲まれた自然の中で都市生活を送る釧路の市民と共に、メディア芸術の最先端の動向とこれまでの歩みをグロス(概括的)に振り返ります。
釧路展では、この釧路芸術館と近隣の文化・交流施設が連携し、マチ歩きの起点である幣舞橋から数分の各施設を結び、展示・上映・関連イベントなどの各種プログラムを12セクションに設定し実施します。
文化庁メディア芸術祭とは
文化庁メディア芸術祭はアート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門において優れた作品を顕彰するとともに、受賞作品の鑑賞機会を提供するメディア芸術の総合フェスティバルです。平成9年度(1997年)の開催以来、高い芸術性と創造性をもつ優れたメディア芸術作品を顕彰し、受賞作品の展示・上映や、シンポジウム等の関連イベントを実施する受賞作品展を開催しています。
本年度[第17回]は、過去最多となる世界84の国と地域から4,347点の作品の応募があるなど、文化庁メディア芸術祭は国際的なフェスティバルへと成長を続けています。
第17回文化庁メディア芸術祭受賞作品展は、2014年2月5日~16日に東京・六本木の国立新美術館を中心に開催しました。
あわせて、文化庁ではメディア芸術の創造とその発展を図ることを目的に、同芸術祭の受賞作品を国内外で広く紹介する多彩な事業を展開しています。
「海外メディア芸術祭等参加事業」「文化庁メディア芸術祭国内巡回事業」では、国内外のメディア芸術関連フェスティバル・施設で展示・上映・プレゼンテーションを実施しています。また、「文化庁メディア芸術祭地方展」では、インタラクティブアート、映像、ゲーム、ウェブ、アニメーション、マンガ作品などを総合的に紹介する展覧会を開催しています。
第17回文化庁メディア芸術祭 http://j-mediaarts.jp/
釧路展テーマ
自然と人間:グロスに見渡すメディア芸術
※グロス(GROSS)=総体の、概略の、未開の、(霧などが)濃い、粗野な、1グロス(12ダース=144個)、総量、総計等の意。
2年前の東日本大震災以降、日本人は自然と人間の関係について、その見直しに直面しています。釧路展は、芸術にとっても普遍の課題であるこの「自然と人間」をテーマとして、12セクションの展示・上映と関連イベントで構成されます。メディア芸術はデジタル技術や新表現に拠るものでありながら、「いかに大自然や地球環境と向き合うか」を、多くの作品に共通するテーマとして、想像の世界や現実のメタファーの背後に、創造性豊かに描き込んでいます。
古代から現代に至るまで、芸術は人類が発見し考案したさまざまな表現技術と結びついて進展を遂げてきました。高度に技術革新が進む現代社会を考察する上で、メディア芸術を介して人間の知性と感性について理解を深めることは極めて有意なことです。 釧路展では、新たな表現傾向や未開拓な可能性にあふれているメディア芸術を、最新の代表作や注目作を主として展示・上映するとともに、旧来の作品も提示しながら現代アートをグロス(総体的)に俯瞰し、芸術とは何かという本質的な問題を考察する機会とします。