「真夜中の十字路で、私は、やつがくるのをただひたすら待っていた。
すると暗闇の中からやつが姿を現し、こう言った。
「おまえの魂と引き換えに面白い絵を描けるようにしてやる」と。
私は何もためらうことなく、やつに魂を渡し、やつは暗闇の中へ消えていった。
あくる日、私の絵を、不可思議な模様が支配し始めた。」
色鉛筆の描線を緻密に重ね合わせながら広大な画面に様々なモチーフを繰り広げていく秋山正仁。自らを育んだ風土、自然の色彩美を出発点に、日本固有の絵画の伝統を学び取りながら、そのテーマは次第に現代文明の諸相へと移行してきました。今回の発表では、アメリカ現代史の光と闇が、様々なルーツミュージックの混交から絢爛たる音楽文化が花開いた頃の空気感とともに、めくるめく色彩世界のパノラマに描き出されています。