タイトル等
内海信彦絵画表現研究室
「カラマンゾクの審問」
会場
ギャラリイK
会期
2013-09-23~2013-09-28
開催時間
11:30~19:00
14日(土) ~17:00
概要
「人間の行為」を巡る哲学があります。いくつか紹介致しましょう。古代インドの聖典『バガヴァッド・ギーター』はすべての行為をブラフマンに収束することで「人間の行為」の存在を否定します。人間の行為は生成と消滅を繰り返す宇宙のダイナミズムの中の一部分であり、宇宙の一元的総体であるブラフマンのただの分節点に過ぎない。その点を、人間は自我によって自分のものであると誤解する。これは誤った執着である。なぜならばすべてはブラフマンであるから、云々。原爆の父、オッペンハイマーは『ギーター』の愛読者でした。彼は原爆を開発した自分の行いについて、どう考えていたのでしょうか。後年彼はインタビューの中で、『ギーター』の中の一節、「私は世界を滅亡へと導く、機の熟した時である」というくだりを引用します。この台詞は、宇宙そのものであるブラフマンと同一視される、クリシュナ神の言葉です。さて、次に『カラマーゾフの兄弟』より、無神論者イワンの主張。曰く、神の不在を証明することによって、人間の行為によりもたらされる滅びの「すべてが許される」。なぜならば、神が不在であるならば、不死も復活もなく、そのことによって人間は死を、一瞬の人生を誇り高く受け入れることができるであろうから。彼の描く老大審問官はこのために「虚偽と詐欺を取り入れて、人間をば故意に死と破壊へ導き、しかも彼らがどうかしたはずみで、自分らの行く手に感づかないようにする必要がある」、これは私の人間への愛であり、誰かがやらなくてはならないことだと語ります。同じ言葉が、アメリカの戦争倫理の中にも見出すことができます。原爆投下も、シリアへの軍事介入も、これは誰かがやらなければ、云々。さて、我々はここに紹介した彼ら「カラマンゾク」たちの思想を受け入れるべきなのでしょうか。「カラマンゾク」たちは、人間の行為により残された消えない放射能汚染下で行われる東京五輪という行為をどう説明するのでしょうか。宇宙における「人間の行為」とは何か。「人間の行為」たる文明の自壊を目撃する我々はそれをどう結論付けるのか。我々の「審問」は、彼らに対し「行為そのもの」を絵画表現に結晶化、あるいは肉体化することで行われます。そろそろ涼しくもなって参りました。この機会に是非皆さまにお会いできることを願っております。それではまた会場で。
イベント情報
対談

毛利嘉孝氏 (社会学者・東京大藝術大学准教授)
内海信彦氏 (画家)

9月26日(木) 19:00~21:00
一般¥1,000 学生¥700 高校生¥500
要予約:ギャラリイKまで(03-3563-4578)
会場住所
〒104-0031
東京都中央区京橋3-9-7 京橋ポイントビル4F
交通案内
地下鉄「銀座」駅から徒歩6分
地下鉄「京橋」駅から徒歩2分
ホームページ
http://homepage3.nifty.com/galleryk
東京都中央区京橋3-9-7 京橋ポイントビル4F
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