この秋、畠山記念館では、七年ぶりに"書"をテーマに展覧会を開催いたします。今回は、茶の湯とかかわりの深い「和歌」と「禅」を切り口に、平安時代の古筆や日本・中国の墨跡の優品から茶人の筆跡まで、おもに茶席で尊重された書の作品を中心に展示し、書の美の在りかを探ります。王朝文化のなかで育まれた貴族の美意識を反映した優美な仮名書きの世界と、厳しい修行の果てに得られた悟りの境地を土台にして表された禅者の筆跡。永い時を経てなお日本人のこころをとらえた両者の筆墨の味わいを存分にお楽しみいただければ幸いです。なお、歴史の教科書でもお馴染みの書の国宝「離洛帖 藤原佐理筆」(平安時代)を十一月九日(土)から十二月一日(日)まで特別公開いたします。深まりゆく秋の風情とともに季節の茶道具の取り合わせもご紹介いたします。こちらも併せてご覧ください。