『注文の多い料理店』『銀河鉄道の夜』『風の又三郎』など、数多くの童話や、「雨ニモマケズ」などの詩作で広く親しまれている宮沢賢治(1896-1933)。東日本大震災からの復興が進む今、再び賢治の作品が注目を集めています。
彼が生まれた年に起きた明治三陸地震、および亡くなる約2ヶ月前に起きた昭和三陸沖地震という二度の大きな震災により、岩手県に生まれた賢治にとってその生涯は、天災と凶作に悩まされたものでした。そんな苦しい世相の中で、賢治の心には、岩手県をイメージしたといわれるドリームランド、架空の理想郷イーハトーブがありました。イーハトーブを目指す独自の世界観で綴られた詩や物語は、今日に至るまで多くの芸術家たちに視覚的・聴覚的インスピレーションを与えています。
本展では、賢治作品に添えられた数多くの作家による挿絵原画のほか、賢治が記した「雨ニモマケズ手帳」、賢治自身による水彩画や関連資料など約250点を展示します。