資生堂アートハウスでは「現代工藝展」出品作から京都に縁のある作家の作品を選び、秋の特別展を開催いたします。「現代工藝展」は資生堂が1975年から1995年にかけて開催したグループ展で、年に一度資生堂ギャラリーを会場に開催されました。創設当初のメンバーは、八木一夫、清水卯一、加守田章二 (陶芸)、赤地友哉、出口善國、増村益城 (漆芸)、染川鐡之助 (金工)、飯塚小玕齋 (竹工)、岩田久利 (ガラス工芸)の9名。50歳代の中堅作家を中心に、所属団体や分野、表現様式にとらわれることなく結成された、当時としては画期的な展覧会でした。
長い期間の間には物故者もあり、最終回までに参加したメンバーは19名になりましたが、会が終了した時点で13名が重要無形文化財保持者 (人間国宝) に認定されるなど、きわめて高い評価を受けたグループ展に成長しました。
今回は、この「現代工藝展」のメンバーから、京都に縁のある作家を選び展覧会を開催いたします。出品作家は、「紬織」の人間国宝・志村ふくみ、「鉄釉陶器」の人間国宝・清水卯一、抽象陶芸の草分けとして活躍した八木一夫と鈴木治、造形物としての普遍的な美を焼き物で追究した加守田章二、「色絵磁器」の人間国宝・藤本能道の6名。これらの作家の代表作を含む、約40点を展覧いたします。また、資生堂とは戦前から深い縁を結んだ陶芸家、富本憲吉の作品を特別展示いたします。出品作家の多くは富本から大きな影響を受けており、工芸における資生堂好み、工芸における資生堂の美意識の源流が富本にあることがうかがえるでしょう。
なお、志村ふくみの作品は会期を前期と後期に分け、アートハウスのコレクション10点を全て展覧いたします。秋の一日、資生堂アートハウスで工芸の逸品をお楽しみ下さい。