このたび生誕100年を記念して松田正平の展覧会を開催します。飄々とした画風で多くの人に愛された洋画家松田正平の、関東では初めての大規模な回顧展です。
松田正平は、1913(大正2)年、島根県日原町に生まれ、4歳のころ山口県宇部市の松田家の養子となりました。1932(昭和7)年、浪人の末、東京美術学校西洋画科に入学します。1937(昭和12)年、同校を卒業し、翌年、パリに留学しルーヴル美術館で模写に励みます。第二次世界大戦の勃発により1939(昭和14)年、帰国。1941(昭和16)年に、国画会に初入選したのち1994(平成6)年まで、ほぼ毎年出品します。1947(昭和22)年に初めて宇部市の対岸に浮かぶ祝島 (いわいじま) を訪れ、松田の名前を世間に知らしめ、生涯のテーマとなった『周防灘 (すおうなだ)』シリーズを制作し始めます。1952(昭和27)年に上京し、いくつか転居したのち、1963(昭和38)年から1995(平成7)年まで千葉県市原市雛舞に居を構えます。そして、1995年から亡くなる2004(平成16)年までは、故郷の宇部で暮らしました。その戦後の歩みのなかで松田正平は、バラや犬や魚など身近なものをテーマに味わい深い油彩画を描き出しました。
今回の展覧会では、初期から亡くなるまでの作品101点を展示し、この稀代の個性派画家の画業を回顧します。洒脱な中にも厳しさを兼ね備えた詩情豊かな松田正平の世界を心ゆくまでご堪能ください。