江戸時代、将軍のおひざ元の江戸は政治・経済だけでなく文化の中心でもありました。版画でも江戸の浮世絵は多くの著名な絵師を輩出し質量ともにリーダー的存在でした。一方封建下の諸侯が割拠していた地方都市には地方独特の文化・芸術も花開きました。長崎絵はそうした地方版画の一つです。描かれた題材は阿蘭陀、唐の人物や船、駱駝のような見慣れぬ動物など異国情緒あふれるものでした。版画技法の点でも江戸の浮世絵とは違いがあり、長崎絵を柔らかな摺りあがりに仕上げました。
企画展では当館所蔵の長崎絵を展示します。江戸時代、鎖国下の日本の絵師が描いた異国情緒を楽しめます。