マルク・シャガールは「幻想の画家」「愛情の画家」として、今日多くの人々に親しまれています。恋人たちが歓喜して舞い上がり、馬など動物たちが空を駆けるシャガールの絵画の豊かな想像力が、私たちの共感を呼び起こし魅了するからでしょう。
1887年、白ロシア(現在のベラルーシ共和国)のヴィテプスクに生まれたシャガールは、その後フランス、アメリカと移り住みながら、独自の絵画世界を開花させてゆきました。その想像力の源は、多くが彼の生まれ育ったロシアで培われたものと考えられます。
この展覧会は、モスクワのトレチャコフ美術館の全面的な協力を得て、「ユダヤ劇場」の壁画7点(うち2点は7メートルに及ぶ)を含む、同館所蔵の作品を核に構成されます。これにより、シャガールの作品の背景にあるものとしての「ロシア」に焦点を当てながら、「宗教」や「ファンタジー」といったテーマも交えて、シャガールの画業を紹介します。
油彩、テンペラ約50点、グアッシュ、版画とあわせ、約110余点の作品が出品されます。