國府理は1970年京都府に生まれ、1994年京都市立芸術大学大学院彫刻専攻を修了。自動車、自転車、バイクなどの乗り物をモチーフとして、大型の立体作品を発表してきました。その最大の特徴は、ただ造形表現を目指すだけでなく、実際に機能する構造と強度を兼ね備えていることです。夢の乗り物でありながら、目の前で動き、存在する確かなリアリティが、私たちにここではないどこか別の風景を想起させます。
また近年は、移動する乗り物という枠を超えて、植物を自生させるための装置としての作品や、エンジン動力そのものを見せる作品を手がけています。それらは現実の環境と関わりながら姿を変えていくものであり、時に装置としての矛盾をものぞかせます。こうした試みは、人と機械、機械と自然の関係を問い直すものであり、テクノロジーを通して、私たちの生活圏を支えている様々な価値観に切り込むものです。
本展では、独自の造形性を確立した初期作品から、植物を取り入れた近作群、また実際に稼働する新作を一堂に展示することにより、芸術と科学技術のはざまから現実と未来を見つめる國府理の視点に迫ります。