《エンズヴィル》はローランド・ブレナーと高島陽子による、鑑賞者が都市を演出するインタラクティヴ・インスタレーションです。
ギャラリーにはコンピュータでデザインされ、段ボールで制作された24戸のミニチュアの家が並んでいます。それぞれの家の中にはギャラリーの天井から吊り下げられた電球が取付けられており、おなじくギャラリーの天井から吊り下げられたマイクに向かって鑑賞者が喋ったりすることでそれぞれの家の照明の状態が変化します。また同様に音響も鑑賞者の行為に反応し、偶発的な音やサンプリングされた都市の音(たとえば電車や雑踏の音など)がフレーズやリズムとなって再生されることによって《エンズヴィル》のサウンドスケープが展開されます。この都市の風景は一見無機質でどこか未来都市を感じさせるものですが、その都市の音風景には昔懐かしい聞き覚えのある音から現代の都市の喧噪までのサンプリング音が使用されていて時代の輪郭を不明瞭にされています。それは鑑賞者がそれぞれにとっての都市というものの再考を促すためのインスタレーションとも言えるでしょう。