幕末の開国と時を同じくして、日本にもたらされた写真。
芸術作品に用いられる以前の写真は、西洋技術の象徴でした。やがて訪日する写真師との関わりから、日本人の写真師が各地に現れます。そして、内戦を経て西洋的近代化へと文化的に変容する日本に、写真技術は広く普及・伝承されていきました。
関東編、中部・近畿・中国地方編、四国・九州・沖縄編に引き続き、シリーズ第四回となる本展では、北海道・東北に現存する貴重な写真作品・資料を展覧します。当館収蔵作品および協力機関である日本大学藝術学部の収蔵作品のほか、公開機関を持つ約二千四百の施設へ収蔵調査を行い、所蔵が明らかになった多くの東京未公開作品で構成されます。
画像だけでなく「物」として楽しめる初期写真史の逸品とともに、台紙や写真帳の意匠、写真と同じモチーフに取り組んだ錦絵、石版画、そして、写真機材など、初期写真の時代を直截感じられる作品・資料を一堂に会してご紹介します。
そして、東日本大震災から二年を経て平成25年に開催する本展では、特別展示として明治時代の天災記録写真のコーナーを交えて、さらに多角的に初期写真を見つめます。