タカ・イシイギャラリーは、ヘレン・ミラによる2度目の個展「Hourly directional field notation, Bretagne」を開催いたします。ミラの作品は、これまで2005年開催のリサ・ラピンスキー、木村友紀とのグループ展「Set」(タカ・イシイギャラリー)および2009年開催の個展(タカ・イシイギャラリー京都)にて紹介され、本展は、東京・清澄のギャラリースペースにおける作家初の個展となります。近年ミラは、Bonner Kunsteverein(ボン、2011年)、KW Institute for Contemporary Art(ベルリン、2011年)、Haus Konstruktiv(チューリッヒ、2012年)にて展示された「gehend(Field Recordings 1-3)」、Universalmuseum Joanneum(グラーツ)の建物内部の壁面に直接描き込まれた作品「Farbenweg, indirekter」(2011年)、同様の手法でシカゴ大学にて展示された「Instance the Determination」(2006年)、リン・ヘジニアンによる後書きを含む「Cloud, the, 3」(JRP Ringier/Christoph Keller Editions刊、2007年)、ミネソタ-カナダ国境におけるGSA Art in Architectureなどのプロジェクト(2010年)に取り組んできました。彼女の作品は、現在、第30回サンパウロ・ビエンナーレおよびLes Ateliers de Rennes(レンヌ)にて展示されています。
現在のミラの作品制作は、トレッキングの行程のなかで一定の時間ごとにその場にあった石などを麻布に転写するという手法をとっています。イメージの転写行為はその制作場所を説明する為のものではなく、制作過程そのものが偶然によって生み出される行為の延長に存在しています。トレッキングが作品制作を構築し、作品制作がトレッキングを進行させる、それぞれの行為は相互依存の関係にあります。そして、この制作のリズムは作家の展示サイクルに組み込まれ、プロジェクトを持続させるものとなっています。2010年にマサチューセッツ州で始まった本プロジェクトは、その後イタリア・エミリア・ロマーニャ州、スウェーデン南部、アメリカ北東部タコニック山脈、アリゾナ州ソノラ砂漠、フランス・ブルターニュへと続いてきました。今回の展示作品はブルターニュでのトレッキングを通じて制作されたものです。また、作家は日本滞在中の10月9日から11月6日まで西日本を旅し、次回別の場所で開催される展示に向けて作品制作を行います。ブルターニュでのトレッキングにおいてミラは、麻布にイメージを転写する作品制作のほか、毎日7時間の行程を簡潔なメモとして記録し、これらのメモは最終的に16ミリ幅の綿布にタイプライターで打たれたテキストとして作品にまとめられました。本展では、1メートル綿布が1時間の行程を象徴するこの作品も併せて展示いたします。
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