いま、日本画の世界では、墨の表現が改めて注目されようとしています。墨には多くの種類があり、それぞれ微妙に色彩が異なります。用いる紙や描き方によっても味わいは大きく変わります。
この展覧会では、中国・清時代に皇帝の命でつくられた「御墨」など、日本ではほとんど見ることのない墨を含め、さまざまな墨をご紹介する他、一部の墨を実際に磨って紙に含ませ、墨色の美しさを分かりやすく示す資料も展示します。
歴史を彩ってきた画家たちの優れた水墨表現も本展の見所です。雪舟など室町水墨画からはじまり、江戸時代の俵屋宗達や円山応挙。近代以降の横山大観、竹内栖鳳、村上華岳、速水御舟など37作家、約50点です。現代の画家たちの新しい探求もご紹介します。水墨表現の多彩な展開をお楽しみいただけたらと思います。
作品と資料で墨の美の奥深さに触れることのできる、いままでにない展覧会となりました。