日本の絵画には様々な「かたち」があります。屏風・掛軸・巻子・画帖といったその多彩なかたちは、作品の鑑賞のみならず、収納・保存にまで配慮された機能美を有する優れたデザインといってもよいでしょう。
本展では、こうした絵画の形状に改めて注目し、「もの」としての作品のありかたを紹介します。作品が本来持っていた機能や鑑賞の様態は、その形状と密接に関わるものであり、さらに描写内容とても無関係ではありません。普段意識されることの少ない絵画の形状に注目することによって、美術館で見る「作品」に、「もの」としてのリアリティーを感じていただく機会となれば幸いです。
新出・初公開作品の数々によって構成される本展は、まさに「楽園」と呼びうるものです。古美術に馴染みのない方々も、作家や主題以前の「かたち」を手がかりに、この楽園を存分にお楽しみください。