1960年代、ガラスに興味を抱いた芸術家たちの自由で実験的な創作活動(スタジオ・グラス運動)がアメリカから世界各地に波及し、また、ガラス工芸の伝統をもつチェコなどで芸術分野におけるガラス教育システムの充実が図られたことによって、ガラス界に新しい風がもたらされました。
溶けて固まるガラスの特徴を取り入れた造形、質の高い技術や古くから受け継がれる技術を用いた造形、素材特有の光の透過・反射を活かした造形など、個々の作家がガラス素材と向きあい制作に取り組んだことで、表現に富んだガラス作品が見られるようになります。
1980年代には、急成長する現代ガラスアートを紹介すべく、世界中でガラスをテーマにした展覧会が開催されました。本展でご紹介する京都国立近代美術館所蔵のガラス作品も、世界のガラスアートの動向を紹介した2つの展覧会「現代ガラスの美―ヨーロッパと日本」(1980年、京都国立近代美術館)、「現代ガラスの美―オーストラリア・カナダ・アメリカと日本」(1981年、京都国立近代美術館)で展示されたものです。
ガラスがアートの一素材として世界中で注目され、現代ガラスアートが急速に成長した時代に、素材の魅力、洗練された技術、作家たちの溢れる創作心が一体となって制作された、現代ガラスアートの原点とも言える作品の数々をご覧ください。