当館には、旧秋田藩主 佐竹家から譲り受けた488点の江戸時代の模写絵が収蔵されております。藩主の中には、28代義敦、29代義和など、絵や茶道に強い関心を持ち、家臣にもその嗜みを求める藩主もおりました。
室町時代の画僧である雪舟(1420~1506)は、幼少で京都の相国寺に入り春林周藤に師事し、 画を周文に習いました。遣明船で入明し、天童山景徳座の第一座となり帰国しました。大分に画房を開き、山口を中心に漂白し、弟子も多く、後に強い影響を与えました。
数ある模写絵の中でも、雪舟が描いた「天橋立図」(京都国立博物館所蔵 国宝)を、土佐の山内家から借用し、狩野秀水や菅原洞斎(共に寛政・文化頃)などのお抱えの狩野派絵師に、江戸藩邸で写させたものは原画に迫る力があります。
原画には記されていない、模写した絵師が遺した非常に興味深い添書きも併せて展示いたしますので、ご高覧頂けましたら幸いでございます。