北海道北部地域の拠点都市、旭川は、優れた木材資源と長年培われた高い技術を背景に早くから「家具のまち」として発展してきました。1990年に始まり、3年に一度開催されてきた「国際家具デザインフェア旭川(IFDA)」は、審査員に一流のデザイナーや研究者を擁する国際コンペとして注目され、毎回40~50ヵ国から1000点前後の応募を集めています。これまで8回を重ねるなかで、デザイン性やオリジナリティ、作品としての完成度などを問う厳しい審査を経て、200点を超える優れた作品が見出され、入賞、受賞の栄誉を得ています。世界中から集まったこれらの作品は、旭川家具の質と魅力の向上に大きく寄与してきたのはもちろんのこと地域の美術文化にも大きな刺激となっています。
この展覧会では、「国際家具デザインフェア旭川(IFDA)」における過去8回の受賞、入選作品をまとめて紹介し、その成果を振り返るとともに、当館が収蔵する絵画作品と組み合わせて展示することで、二つのコレクションの出会いから生まれる創造性豊かな空間の創出を試みます。その中では、静寂の調べや瞑想とともにある空間、力強い生命の鼓動とつながる空間、ポップではじけるような色彩や明快な形態に彩られた空間、子供の夢のように自由な空想を刺激する空間、簡潔で明快なモダンな空気を感じさせる空間など、椅子などの家具と絵画がともに共有する多彩な美の世界が呼び起こされ、私たちを魅惑的な時間へと誘うはずです。