「銀河鉄道の夜」、「風の又三郎」、そして「雨ニモマケズ」など、37年の短い生涯で宮沢賢治が遺した多くの童話や詩は、世界中の多くの人々に親しまれ、また多くの芸術家にさまざまな視覚的、聴覚的なイメージを喚起させてきました。
自然への畏敬にみちた賢治の詩想に富んだ世界観や理想郷イーハトーブとその住人(花や木々、動物そして人間)によってくりひろげられる心象の世界は、いま、あらためて世界中の注目を集めています。
本展は、賢治の手による絵画や書簡や初版本等の資料類によりその実像を浮き彫りにすると同時に、賢治作品に触発された後世の画家等が描きあげた様々な絵本や挿絵の原画なども併せて展示することにより賢治が発した未来へのメッセージを受け止めようとする展覧会です。
美しい故郷、親しい人々に寄り添い続けた宮沢賢治の言葉は、震災を経、復興の途にある私たちに優しく語りかけ、明日への勇気をもたらしてくれるでしょう。