「備前」という名前がつく工芸品に「備前焼」と「備前刀」があります。備前焼はその源流を須恵器に持ち、千年以上絶えることなく焼き続けられてきました。一方、備前刀は平安末期から江戸時代にいたるまで、吉井川流域を中心に、数多くの名工を輩出し「日本刀の中の日本刀」と位置付けられています。
共に時代の影響を受け、盛衰がありましたが、今も備前焼は重要無形文化財保持者、いわゆる人間国宝は1名おられます。備前刀は鎌倉の華やかな丁子(ちょうじ)刃に魅せられた刀工がその再現に挑み、今日も新たな備前刀を生み出しています。
本展では桃山時代を中心とした備前焼と、鎌倉時代の備前刀を中心にその時代の代表作を展観し、併せて備前焼では金重陶陽氏をはじめとする歴代の重要無形文化財保持者5氏の作品と、日本刀においても重要無形文化財保持者の隅谷正峯刀匠と今泉俊光・大野義光両刀匠の作品を併せて展示いたします。これらの工芸品を通して、岡山の自然の豊かさと、伝統を引き継ぐ情熱を感じていただければと思います。