京都の日本画は円山・四条派の伝統を基盤として、明治中期には竹内栖鳳(たけうち せいほう)らによる洋風表現を取り入れた新しい日本画の創造を目指しました。また、大正期には土田麦僊(つちだ ばくせん)、村上華岳らによる清新な日本画革新運動が起こり、福田平八郎、徳岡神泉らが個々の芸術を更に展開させ、上村松篁(うえむら しょうこう)らの創造美術、下村良之助らのパンリアル美術協会など新たな動きが示されました。このように京都の日本画家たちは、東京画壇に対し、古都としての文化の蓄積と美しい風物に培われた美的感覚により独自の作風を築き上げ、日本美術史において重要な役割を果たしてきました。
本展は近代日本画を多数所蔵する京都国立近代美術館の代表的作品を中心に、京都市立芸術大学芸術資料館、京都府立総合資料館などから、竹内栖鳳、山元春挙、土田麦僊、菊池契月、西山翠嶂(にしやま すいしょう)、堂本印象など近代京都画壇の俊英たちの名作と、同時代に東京画壇で活躍した横山大観、前田青邨(まえだ せいそん)らの作品あわせて66点を紹介するものです。
うららかな春の一日、日本画の名品の数々をぜひご堪能ください。