色鮮やかなガラスを素材にした装飾的で官能的な作品で知られるジャン=ミシェル オトニエル。2011年春に幕を開けた回顧展「My Way」では、パリのポンピドゥーセンターにて20万人という入館者数を動員しました。原美術館では、パリ市民を魅了したその「My Way」展を、かつて邸宅であった当館の空間にあわせて再構築し、珠玉の迷宮へと変貌させます。
オトニエルが歩んできた道のりは決して平坦なものではありませんでした。初期には自らの表現に適した素材を探し求め、硫黄や蜜蝋など可変性の素材と格闘し、心の傷や苦悩を刻むエモ―ショナルな作品を制作していました。後にガラスに出会い、脆く透明なガラス玉を連ね、自然に溶け込むように作品を展示。そして近年は、メタリックに輝く鏡面ガラスの大型作品で新たな境地を開いています。本展では、初期作品から最新の大作まで約60点を一挙公開。周囲に左右されることなく“マイ ウェイ”を貫いてきた作家の25年の歩みを展観します。生と死、自由と苦悩、美と官能など、さまざまな思いや概念が結晶したオトニエルの世界をどうぞご覧ください。