新制作協会(当初は新制作派協会)は、1936(昭和11)年、実力派の若手画家たち、伊勢正義、猪熊弦一郎、内田巖、小磯良平、佐藤敬、三田康、 鈴木誠、中西利雄、脇田和の9名によって結成されました。同年秋に開催された第1回展は、自由大胆な表現とモダン感覚に溢れた個性的な会員作品に加え、彼らを支援した重鎮・藤島武二の近作5点も賛助出品され、大きな話題となります。
メンバーの共通点は、当時の官展を中心とするしがらみから解放された「芸術運動の純粋化」という主張であり、追い求めた絵画表現はそれぞれ異なっていました。こうした会の姿勢は、第2回展以降野田英夫、荻須高徳、三岸節子といった有力な画家たちを迎えることとなり、同会はますます発展してゆきます。
本展では、その結成前後から1950年代までの作品約70点を展覧し、美術団体の役割や意義を再考するとともに、戦前・戦中・戦後という激動の時代に日本の洋画がどのように形づくられてきたかを検証いたします。優れた画家たちが生み出した質の高い作品を存分にお楽しみください。