書、篆刻、絵画、漆芸、そして陶芸とあらゆる芸術分野で類まれなる才能を発揮した北大路魯山人(1883-1959)。美食道楽が高じ、自らが作る料理のために作陶を始めた魯山人ですが、本格的に作陶を始めたのは、すでに40歳を超えてからのことです。しかし、その後精力的に制作をし、膨大な数の作品が生み出されました。
魯山人の器は、あくまでも料理を盛るということが基本です。「食器は料理の着物である」と語られるように、それらは料理を盛ることによって、料理と器と双方の魅力を引き立てるものです。濃密な個性を放つそれぞれの作品からは、魯山人の研ぎ澄まされた感性と、食への飽くなき追求が感じられます。さらには料理を取りまく総合的な美を求め、食の空間を彩る花器や絵画も制作しており、独特の美的世界を築き上げました。
足立美術館は、魯山人の作品約250点を収蔵し、日本画に並ぶ充実したコレクションで知られています。
本展では、陶芸館全館を使用して、約100点の名品を一堂に展示いたします。
この機会に魯山人が追い求めた美の世界をぜひご覧ください。