横浜市都筑区・茅ヶ崎城跡からは、うずまき紋を持つウズマキかわらけが出土しています。
かわらけとは、使い捨ての素焼きの皿のことで、9~10世紀に京都で穢(けが)れ観念が定着する中、儀式や饗応など非日常の場でさかんに使用されるようになります。そして室町・戦国時代、室町幕府の武家儀礼を踏襲する関東地方の諸勢力や諸大名が、独自のかわらけを創出していったと考えられています。
ウズマキかわらけは、茅ヶ崎城の他、葛西城(東京都葛飾区)・深大寺城(東京都調布市)・丸山城(神奈川県伊勢原市)・川越城(埼玉県川越市)・岩槻城(埼玉県さいたま市)などの南関東各地より出土しており、その分布から、当時武蔵国から相模国にかけて勢力を持っていた扇谷上杉氏とのかかわりが指摘されています。
本展覧会では、ウズマキかわらけをはじめとする茅ヶ崎城跡の遺物と、各地のウズマキかわらけ、また鎌倉や伊豆・小田原に特有のかわらけなど、南関東のさまざまなかわらけとその形態を紹介し、関東の室町・戦国時代をかわらけという視点から考えていきます。