黒船・ペリーの来航は、約250年にも及ぶ日本の鎖国を解かせ、文明開化をもたらしました。当時の人々が想像で描いた黒船やペリー。その面白さに見せられた新潟県柏崎市の花田屋呉服店当主・吉田正太郎(1887-1971)は、幕末・文明開化、さらには南蛮・キリシタンに関する資料を収集し、日本有数の膨大なコレクションを築き、自分の書斎の名前を「黒船館」と称しました。
吉田は1935年、川上澄生(1895-1972)の絵本『ゑげれすいろは人物』に感銘を受け、面識のない川上に手紙を出しました。それがきっかけで、以後35年余りに及ぶ2人の交流が始まりました。西洋の文化を摂取して独自の文化を築き上げる日本人の姿に強い関心を抱いていた2人はすぐ意気投合し、川上は吉田の依頼で、新たなる画題-黒船・ペリーを数多く描くようになりました。2人の厚い親交は、川上が吉田に宛てた約750通もの書簡が物語っています。
吉田の川上澄生コレクションは約500点にも及び、それらは黒船関係資料や明治時代の石版画コレクションなどとともに、現在では財団法人黒船館で収蔵・展示されています。
本展は、川上澄生が吉田正太郎のために描いた黒船・ペリーなど、財団法人黒船館所蔵の川上澄生作品約50点が北関東で初めて一挙公開される、またとない機会です。吉田と川上の友情によって生まれた、幕末・文明開館の香りただよう作品の数々をご堪能ください。