河鍋暁斎は、狩野派修業中の青年時代から大蔵流狂言を学び、後には素人役者として舞台に上がるほど上達しました。そして暁斎の娘・暁翠も能狂言を好み、謡を学び、熱心に観劇したことが知られています。
能狂言画の上手は少ないと言われますが、自ら舞台に立つこともあった暁斎にとって、特に狂言画は自家薬籠中の画題のひとつで、本画だけでなく席画や版本まで、幅広く能狂言画を描きました。娘・暁翠も父親譲りの確かな観察眼で数多くのスケッチを残し、暁斎亡き後、能狂言画や関連本の挿絵を得意としました。
今回は、暁斎・暁翠を中心に、荘重・優美な能画と躍動感溢れる狂言画をご覧頂く企画展としました。お楽しみいただければ幸いです。