茶道具は実際に茶の湯に用いる道具であるとともに、書院の茶から草庵の茶へ転換した歴史を物語り、千利休、古田織部、小堀遠州などの茶匠の好みや美意識をも伝えてくれます。また中国や朝鮮半島、さらに東南アジアから舶載された陶磁器や漆器に加え、国内でも茶の湯道具の需要に伴い、技術、意匠においても発達が促され、地域や時代により多様な道具が伝世し現代も作られています。
茶道具鑑賞のポイントは数多くありますが、例えば竹の花入は切り方によって、一重切、二重切、置筒、舟形、尺八などの変化があり、茶人の工夫を見ることができます。
今回の展示では素材や技法(竹、金属、産地、釉薬など)、形(細、平、筒など)さらに文様(龍、菊、桐、人物など)の三種のテーマを設定し、同じキーワードで分類された作品を「対決」といった形で展示します。隣り合う作品を比較しながら類似の中の相違を見つけ、時代による好みや造形性、表現方法などを探っていただきたいと思います。