中国の東海(東シナ海)・南海(南シナ海)の接点に位置する福建省。交易の拠点として栄えると、「泉州」「福州」「しょう州」「厦門」などの大貿易都市が築かれた。
福建の海外交流は、晩唐から五代・びん国の頃に盛んとなり、宋・元代には中国を代表する貿易拠点となった。そこには唐末以後移り住んできたイスラーム商人(アラビア・イラン系)の存在もあった。
13世紀にこの地を旅したとされるマルコポーロは、「東方見聞録」の中で泉州を世界最大の海港と記し、その繁栄ぶりを称えています。また明代晩期(17世紀)には『国姓爺』として呼ばれた鄭成功が福建沿岸を拠点として反清活動や貿易を行い、日本とも深いかかわりを持っています。
この地で生み出されたさまざまな文化や工芸品は、東アジアの海を渡って世界に広がっています。宋代に福建で生産された茶と茶道具は、中国国内で高い評価を得ただけでなく、日本など海外の茶文化にも大きな影響を与えました。また福建産の陶磁器も盛んに海外に輸出され、世界各地の陶磁生産に強い影響を与えています。
本展覧会は、福建省沿岸の海で発見された沈没船から引き上げられた陶磁器、貿易都市で発見された国際色豊かなさまざまな文物、福建で生産された輸出用の陶磁器、茶道具などを通じて、海のシルクロードの拠点・福建の歴史と文化を紹介します。