久留米絣は、江戸末期から昭和の初めにかけ、蒲団絣や普段着・作業着などの衣料として人々に愛されてきました。深い藍に染めることで糸が丈夫になり、洗濯するたびに、その藍が優しく輝いていくからです。
松枝玉記(1905~1989)は、筑後の沃土から生まれた藍と綿によって作られた久留米絣を心の底から愛しました。たゆまぬ努力によって、優しい藍の色合いを研究した玉記は、淡い青色を出した「淡藍」の技法によって久留米絣の表現の幅を広げました。従来の幾何学模様によるデザインはもちろん、晩年には野山や草木をモチーフにした「絵絣」も多数制作しています。玉記の詩情あふれる作品は、見るものをすがすがしい気分にさせ、勇気を与えてくれます。
藍とともに生きた松枝玉記の世界を、どうぞご覧ください。